SAIL meets ART

人生に本当の心地よさと美しさをもたらすセルフケアブランドでありたい。
そう考えるSAILが、みなさまの生活をより素敵なものにできたらという想いで、新しいプロジェクトをスタートします。
その名も「SAIL meets ART」。

大好きな場所があること、美味しいと思えること、美しいと感動すること、心から安心できること。
世界にはわたしたちを心地よくしてくれるもの、輝かせてくれること、がたくさん存在しています。
SAILを知ってくださる方々が、それらに触れるきっかけを生みだすため、多くのアーティスティックな人物や事柄と繋がり、
様々な情報を発信し、表現やコミュニケーションを作り出していくプロジェクトです。

SAIL Photography by____________

プロジェクト第一弾となる、「SAIL Photography by」はクリエイティブディレクターにフォトグラファーKINYA氏を迎え
年2回、彼がピックアップしたフォトグラファーの方々がSAILの製品を独自の感性でとらえ、表現を制作します。
公式サイトのジャーナルで、作品とそれぞれのインタビュー記事を公開し、合わせて公式インスタグラムでも作品を順次公開します。
それぞれのフォトグラファーが普段、どのような感覚で作品をつくりだしていているのか、
また今回SAILの製品や、香りをどのように捉えて作品に落とし込んだのか。
さらには、最近気になっていることや大切にしていることなどもインタビューすることで、トップクリエイターの思考にも迫ります。

加藤純平 / Junpei Kato

1980年、神奈川県横浜市生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。広告制作会社に勤務後、2009年に独立。
2003年、マーティン・パー選により第26回写真新世紀優秀賞受賞。2006年、第1回M/Aフォトグラファー賞グランプリ受賞。
広告や雑誌を中心に活躍する一方で、国内外の展覧会などで作品を発表している。

「Let Go」と心が落ち着く時間

「Let Go」の香りからは新緑のような植物の匂いを想像して、リラックスするイメージを持ちました。そこで、気持ちが落ち着く夕方の光を思わせる、アンバーの色味で撮影したいと思いました。夕方は、僕自身も好きな時間帯なんです。

それで、奥さんが買ってきたブラウン色でできている彫刻が家にあるのですが、それと親和性もあるし、商品と組み合わせて撮影してみようと思いつきました。ただ並べて撮るのではなく、商品と彫刻が“空間”を生み出すよう意識しました。彫刻の真ん中にあいている穴から覗き込むようにしたり、彫刻越しに商品を配置したり、さらに自分の視点やアングルを変えることによって、見え方が変化するのが面白かったですね。

一度“からっぽ”になって見つけた写真

僕は、高校までずっとサッカーをやっていたんですが、サッカーだけの生活が終わると、何も無くなってしまった。大学受験の準備はしていたのですが、あまり勉強が好きではなかったので、何かないかなあと探していた感じで。そんなとき、たまたま家にカメラがあったので、散歩しながら写真を撮り始めたんです。カメラに触れるようになったのはその頃ではあるのですが、特にやることも見つからないまま、とりあえず大学に進学しました。でも、どうも雰囲気に馴染めなくて半年ほどで辞めてしまいました(笑)。

その夏、鉄道で日本を旅したんですが、そのときにカメラに救われたというか、一人でも寂しくないと感じたのをすごく覚えています。僕は人に話しかけるのがあまり得意ではなかったので、カメラを持っていると人とコミュニケーションが取りやすくなって、カメラを通じて世界が広がったといえばいいでしょうか。旅にしても、どこかへ行きたいというよりも、どこかを撮りに行きたい、だから旅をする。というように、写真自体が目的になって、だんだんとのめり込んでいくことになりました。もう一つ、昔から“収集”することもどこか好きだったんだと思います。次はあれを撮ろう……と、集めていくような感覚が性に合っていたのかな、と。そうやってだんだんと「写真をやろう」と意思が固まっていった。それで半年間バイトして、写真の専門学校に入りました。きっと、僕にとって写真は、一度からっぽになって偶然見つけたものなのかもしれません。

被写体との距離感

今は、ランドスケープも物も人物も撮るし、広告、雑誌、ファッション……と、特に決めることもなくいろいろやっているので、ジャンルレスだなと思います。でも、どんなものでも被写体がいいと気分が上がりますね。撮影は被写体ありきなので、物、人物、風景にしても、いいものと出会ったときはシャッター数が多くなる気がします。

普段、建築を撮ることも多いのですが、建築に惹かれるのは、自分が生まれ育った横浜に理由があるのかもしれません。桜木町が開発される以前の更地のような状態だったところに、どんどん高層ビルが建設されて、まるで森のように人工物ができていく変遷を眺めていたのが、建築への興味につながっているのかなと思いました。

全体としての建築に興味はあるのですが、写真を撮るときは、その構造というよりも、壁のシミや汚れとか、その質感にすごく興味が湧きます。建物の要素としての、質感。もともとグラフィカルな撮り方も好きなので、そういった要素が“壁”につながって、ラインやテクスチャーに焦点を当てた「skin」という作品のシリーズにつながっているのだと思います。

仕事としての撮影の際は、光やトーンはもちろんですが、“自分が撮った”ということが感じられる被写体との距離感を大事にしています。技術的なことではあるけれど、レンズの選び方にしても、広角レンズをよく使うフォトグラファーもいれば、望遠レンズを好む人もいて、さまざまです。でも、それが被写体との距離に関わってくることだと思うし、その距離感が自分の個性にもなっているのではないでしょうか。僕の場合、距離感はニュートラルなんだと思います。

今後の生活拠点と制作について

下の「最近気になる7つのこと」でも触れているのですが、来年、山梨の八ヶ岳のあたりに家族と移住するんです。家を建てるにあたって、今、建築家さんに設計をお願いしているところなのですが、本当に楽しみです。高い山に囲まれていて、水も空気も美味しい。本当に空気が違うんですよね。その環境にいるだけですごく“休める”と感じます。

家が建つ過程を長期にわたって撮りためていきたいとも考えています。そのうち写真集や展示もやりたいですね。なかなか仕事が忙しくて自分の作品に集中できていない時間が続いているのですが、やっぱり「何を表現したいのか」と、自分と向き合うことを大切にしたいと感じることが増えてきていて、今の自分がそういう段階にあるのかなと思います。

最近気になる7つのこと

1. 面白かった映画
クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』
(2023年7月公開予定)
2. よく聞いている音楽
Nujabes, haruka nakamura, Bill Evans
3. 好きな本
『ARK JOURNAL』などのインテリア雑誌
4. 注目しているアーティスト
写真家のGerry Johansson
5. お気に入りの場所
八ヶ岳
6. 最近買ったもの
RICOH GR IIIx
7. 気になっている撮影機材
PLAUBEL makina 67。気になっているというよりは、
旅行などで愛用しているカメラです。
インタビュー:中村志保

1982年生まれ。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。ロンドン大学ゴールドスミス校でファインアート専攻後、メディア学修士修了。 「美術手帖」「ARTnews JAPAN」編集部などを経て、フリーのエディター・ライター。

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